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2022年(令和4年)埼玉県立高校入試解説(数学)

どうも、はるです。

先日、2月24日に埼玉県立高校の入試が行われましたので、数学の問題を解きました。今回も解説していきたいと思います。問題は埼玉県のHPから確認できます。

www.pref.saitama.lg.jp

◯傾向
形式 :記述・選択式の混合型。例年通り、作図・証明記述が出題されました。
難易度:やや難化。方針が立てにくい問題が多かったです。
分量 :大問4つ、問題数は24問から23問へ減少しました。1問あたりの配点と、問題数は次の通りです。大半が、1問4点の問題でした。

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1問あたりの配点と問題数

 

◯サラッと全体感を把握
大問1は小問集合。計算問題や図形、グラフに加えて、誤った文章を選ぶ問題があり、様々な分野からの出題でした。配点は、ここだけで65点もありました。

大問2は、2問で構成された小問集合。前半は基本的な作図でした。後半は二次関数と平面図形の融合問題で、平行四辺形の面積を求める問題でした。

大問3は確率・関数・図形の総合問題で、会話形式で出題されました。サイコロの目の数を点の座標とし、その点と直線上の2点が作る三角形の面積が一定以上になる確率を求める問題です。見るからに難しそうな問題ですね。今回は「確率の問題を作る」という設定でしたが、この問題の肝は、実は図形の性質を利用して、面積を考えていくことでした。

大問4は平面図形。証明と線分の長さを求める問題でした。(2)の線分を求める問題は、補助線を引いて、相似な三角形・線分比・線分の長さを図に書き入れながら考える力が問われていました。難易度は高いですが、(1)の証明がヒントになっていたので、前の問題の結果・考え方を使えないかな?という思考が大事なポイントでした。

 

◯講評
大問1(小問集合)は大半が基本的な問題でした。一方で、方針が立てにくい問題もありました。(12)の自然数の数を求める問題では、平方根素因数分解の理解が問われました。平方数を作るために、素因数分解するのは定石ですが、慣れていないと中々難しいものです。(14)の箱ひげ図の問題では、箱ひげ図の読み取り・考察ではなく、本質的な理解が問われました。

大問2(小問集合)の作図は基本的なものでした。後半の平面図形の面積を求める出題では、座標と線分の長さの違いを理解しているかが問われました。

大問3(確率・関数・図形)の前半(1)(2)は基本的な計算なので、会話文から題意を掴むことがポイントでした。(3)については、方針がわからなくても、まずは手を動かして具体例を考える、ということが最初のステップです。ただ、確率での数え上げは定石なので、まずは数えるか、となった生徒も一定数いたのではないでしょうか。条件を満たす簡単な三角形を見つけることが出来れば、あとは等積変形で等しい三角形、それを超える三角形の数を数えます。非常に難しいですね。

大問4(平面図形)の証明は、基本的なものでした。設定自体も見慣れたものだったと思われます。(2)は補助線を引いて相似な三角形を作り、線分の長さを求める問題でした。闇雲に補助線を引くのではなく、相似な三角形を作ること・(1)で証明した情報を使うこと、の2点に注意していれば答えに辿り着いたと思います。

難しい問題は、ほとんどが誘導になっていて、前の問題の結果・考え方がヒントになることが多いです。天から降りてくる突然のひらめきや発想が必要な問題は少ないです。その点を押さえておきましょう。

 

2022年(令和4年)千葉県立高校入試解説(数学)その②(分析・講評)

どうも、はるです。

前回に続き、今年(2022年)の千葉県立高校の入試の数学について、解説していきたいと思います。

◯全体的な傾向
形式 :記述・選択式の混合型。作図や証明記述も出題されました。ここは例年通りです。
難易度:やや難化。
分量 :大問数は例年の5つから4つに変更されました。小問数(解答数)が22問から、26問に増加。1問あたりの配点が低い問題が増加し、昨年は、1問5点の問題が16問、今年は、1問3点の問題が16問になりました。

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1問あたりの配点と小問数

 

◯サラッと全体感を把握
大問1は小問集合で、各領域の基本的な計算問題が出題されました。ここで、作図も出題されました。配点は51点分ありました。

大問2は関数で、直線の式を求める問題が出題され、二次関数・一次関数・図形の性質についての理解が問われました。(3)はシンプルな設定のため、記載されている情報(ヒント)が少なく、方針を立てることが難しかったと思われます。

大問3は平面図形で、図形の証明・図形の面積比が問われました。線分の長さが等しいことを示すために、合同な三角形を探すことは頻出ですが、今回は誘導があったので、少し難易度は低かったです。(3)は中点連結定理を使って、三角形と四角形の面積比を求める問題でした。

大問4は一次関数・速さの問題で、円弧を移動する2つの動点に関する出題でした。設定としては難しかったですが、会話文にしたがって状況を把握できれば、そこまで苦戦せずに解けたと思います。しかし、難易度が高いことには変わりありません。実際に受験した生徒さんは、非常に揺さぶられたことでしょう。

 

◯講評

大問1(小問集合)は、基本的な計算力、知識が問われました。(3)②の箱ひげ図の問題は、少し考えにくい問題でした。具体的に数を与えてみて、その結果、箱ひげ図がどうなるか?を考えてからイメージをつけておくと方針が立てられたと思います。

大問2(関数)の(1)(2)は基本的な問題でした。(3)は、図形の性質を利用して、直線の式を求める問題でした。補助線を引いて相似な図形を作り、線分比から点の座標を求めます。最後に、2点の座標から直線の式を求めます。与えられた情報(ヒント)が少なく、自分で方針を立てるのが難しい問題でした。

大問3(平面図形)の(1)(2)は証明問題で、文章を記述する必要がありました。しかし、証明自体は基本的なものでした。(3)は三角形と四角形の面積比を求める問題。補助線を引く必要はなかったので、「中点」「平行線」という情報から、「中点連結定理」を使うことに気付けるかどうかがポイントでした。最後に、前半で示した合同な三角形と、注目する四角形(台形)の高さが共通なので、面積比を計算することができます。四角形と三角形の面積比ということで、方針が立てにくかったかもしれませんが、落ち着いて与えられた情報・そこからわかった情報を図に書き入れて、面積を考えていくと答えに辿り着きます。とはいえ、難易度は高いですね。

大問4(一次関数・速さ)は、会話文で誘導されているので文章を読む量が多く、読解力が必要とされました。発想力を必要とする問題ではなく、問題文から方針が立てられますが、速さ・一次関数とグラフの理解が問われていて難易度は高いです。速さの文章題などで頻出の、兄と弟が時間差で出発する系の問題が得意な生徒さんは奮闘できたのではないでしょうか。

 

   

2022年(令和4年)千葉県立高校入試解説(数学)その①(形式・概観の分析)

どうも、はるです。

先日、2月24日に千葉県立高校の入試(英・数・国)が行われましたので、数学の問題を解きました。今回も解説していきたいと思います。

今年の千葉県は大きく傾向が変わったので、複数回に分けて解説していきます。

まず今回は形式や概観部分の解説を行います。

 

◯傾向
形式 :記述・選択式の混合型。作図や証明記述も出題されました。ここは例年通りです。
難易度:やや難化、詳しくは次回です。
分量 :文章を読む量はほぼ変更なしです。しかし、大問数は例年の5つから4つに変更されました。あわせて、配点と小問数(解答数)も大きく変化しました。今年と昨年の、1問あたりの配点と小問数は以下の通りです。

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1問あたりの配点と小問数

 

少々、読み取りにくくて恐縮ですが、押さえてもらいたいのは次の2点です。

① 小問数が増加

小問数(解答数)が22問から、26問に増加しました。

 

② 1問あたりの配点が低い問題が増加

昨年は、1問5点の問題が16問、

今年は、1問3点の問題が16問になりました。

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1問あたりの配点と小問数

総括すると、今までは1問あたりの配点が高いので、ケアレスミスでの失点が大きかったです。しかし、今年は、1問あたりの配点が下がったため、その心配は少しだけ減っていました。

とはいえ、小問数が増加した分、より多くの分野から出題されます。したがって、網羅的な知識が必要となります。

この大きな変化から恩恵を受けた人、そうでない人、変わらない人、三者三様だったと思われます。

 

 

2022年(令和4年)東京都立高校入試解説(数学)

どうも、はるです。

先日、2月21日に都立入試が行われました。
数学の問題をといたので、解説します。

◯傾向
形式 :記述・選択混在、証明2問、作図あり。例年並み。
難易度:例年並み
分量 :記述量、計算量ともに例年並み

◯分析
大問1は小問集合で、基本的な計算問題が中心。作図が出題された。

大問2は整数問題。東京都の大好きな、「先生が示した問題をみんなで考える」という設定。具体例があり、誘導が丁寧だった。文字式の証明が出題された。

大問3は二次関数。変域や直線の式、座標の導出が出題された。このあたりから、大問の最後の問題は難易度が上がる。

大問4は平面図形。設定は正三角形を組み合わせた図形(ひし形)。角度や面積比を求める問題や、合同に関する証明が出題された。

大問5は空間図形。辺上を動く点と線分が作る図形の周の長さ・体積を求める問題が出題された。


◯講評
全体的に例年の傾向は保持されている。

大問1(小問集合)は、基本的な計算力、知識が問われる。ここでの配点で4割程度あるので、ミスなく得点したい。例年、ここで作図が出ているので、基本的な作図はマスターして得点しておきたい。

大問2(整数問題)は、設定・単元としては難しく感じるかもしれないが、具体例や誘導が丁寧なので、文字式の計算・文字式の証明に慣れていれば問題なかった。後半は三桁の自然数を扱うが、計算量はそこまで多くなかった。

大問3(二次関数)は、問1.2は基本問題なので、得点しておきたい。例年通り、最後の問題は難易度が高かった。まずは放物線上の点を文字でおき、与えられた条件にしたがって、計算を進めていく。補助線を引いたり、相似な図形の線分比を使ったりと、解答に必要な知識は多い。答えにいたる道筋が長いので、状況を頭の中で整理しながら計算を進めていく必要がある。ほとんどの生徒にとっては、解かなくても良い問題だろう。同様に、これ以降の大問の最後の問題は難易度が高い。

大問4(平面図形)は、問1は角度を求める問題。一見、複雑そうに見えるが、等しい角度を求める手法として、共通部分を考えるのは定石通り。落ち着いて、わかっている角度を図に書き入れていこう。後半は証明・面積比を求める問題で、例年通り難易度が高い。補助線を引き、相似な図形の線分の長さを整理していけば、解答できた。とは言っても、難易度が高いので、これを解くために多くの時間を使うくらいなら、前半の基本問題の見直しを行う方が合格確率は上がると思われる。

大問5(空間図形)は、動点と立体図形を組み合わせた珍しい設定だった。しかし実は、動点はほぼ固定で、線分の長さを伝えてくれるだけなので、難しさに直結しなかった。もちろん、最後の問題は体積を求める問題で、非常に複雑。難易度が高かった。